5-2.陸軍大臣要望事項

26日午前5時ごろには丹生隊とともに香田大尉、磯部浅一、村中孝次は陸相官邸に至り、川島陸相との面会を強要した。
香田大尉は受付の憲兵伍長に拳銃を突きつけ、
「国家重大事に関し、大臣に報告したい旨あり、取り次ぐよう」さらに「官邸の周囲は重機で包囲してある」と脅した。
6時30分に川島陸相と香田大尉らは面会し、香田が蹶起趣意書を朗読し、叛乱軍の配備図と陸軍大臣要望事項を押しつけた。



陸軍大臣に対する要望事項

事態ノ収拾ヲ急速ニ行ウト共ニ、本事態ヲ維新回転ノ方向ニ導クコト。
決行ノ趣旨ヲ陸相ヲ通ジテ天聴ニ達スルコト。
警備司令官、近衛第一師団長及憲兵司令官ヲ招致シ、ソノ活動ヲ統一シテ、皇軍相打ツコトナカラシムルヨウ急速ノ処置ヲトルコト。
兵馬ノ大権ヲ干犯シタル宇垣朝鮮総督、小磯中将、建川中将ノ即時逮捕。
軍権ヲ私シタル中心人物、根本博大佐、武藤章中佐、片倉衷少佐ノ即時罷免。
蘇国(ソビエト)威圧ノタメ荒木大将ヲ関東軍司令官ニ任命スルコト。
重要ナル各地ノ同志将校ヲ即時東京ニ招致シ事態収拾ニ当タラシムルコト。
前各項実行セラレ事態ノ安定ヲ見ルマデハ、蹶起部隊ヲ警備隊編入、現占拠位置ヨリ絶対ニ移動セシメザルコト。
次ノ者ヲ陸相官邸ニ招致ス。
 −以下略−
というものである。
追放すべき統制派についての指摘の詳しさに比べ何という革新内容の無さ。

農民や中小商工業者の救済も、財閥・重臣閥の排斥も問題にされてない。
反乱軍が真崎軍事参議官らに事態収拾を期待したためといえばそれまでだが・・・・・。
占拠した放送局を利用して国民の支持を呼びかけるなんてことさえ思い浮かばないほどに、彼らの社会への関心は薄かったのかもしれない。


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